「スポンジケーキを焼いてみたいけど、ハンドミキサーが無い・・・」
そんな時におすすめなのが、ホイッパーひとつで泡立てられる「別立て法」です。
ハンドミキサーをお持ちで、共立て法で作ってみたい方は以下の記事をご覧ください。

この記事では、3号(直径9cm)~8号(直径24cm)まで、全6サイズの分量をご紹介します。お手元のケーキ型のサイズを気にせずお作りいただけます。
動画で材料の混ぜ方や生地の状態を先にイメージしておきたい方は、こちらの動画をご覧ください。
※動画では5号サイズでの作り方をご紹介しています。
すでにご存知の方は、レシピまで読み飛ばしてください。
スポンジケーキの作り方には、共立て法と別立て法の2種類があります。
共立て法で作ったスポンジケーキのことをジェノワーズ(genoise)、別立て法で作ったスポンジケーキのことをビスキュイ(biscuit)と呼んだりもします。
この2つの製法の詳しい解説は、別の記事にまとめました。

ここでは要点だけお伝えします。
別立て法で作ったスポンジはふわふわでややコシのある食感が特徴です。
デコレーションケーキの土台にする場合、そのままでは共立て法のスポンジに比べてやや口溶けが悪くなるため、シロップを多めに打つことで口溶けを良くする工夫が必要となります。
別立て法は卵黄と卵白を別々に泡立てる製法なので、泡だちが良く、ホイッパーだけで作ることが出来ます。共立て法でハンドミキサーを使わず作るのはかなり困難です。
卵白を泡立てて作るメレンゲは泡が丈夫なので、ゆっくり作業しても比較的つぶれにくく、はじめての方やお子さまと一緒に作られる場合にもおすすめです。
では、さっそく作り方をご紹介していきます。
必要な材料(レシピ)
お手元のケーキ型のサイズに合わせて、レシピをお選びください。
材料名 | 量 | 説明 |
---|---|---|
全卵 | 36 g | Mサイズ卵2/3個 |
砂糖 | 21 g | 上白糖でもグラニュー糖でも可 |
薄力粉 | 18 g | |
サラダ油 | 4 g | バター、太白ごま油に置き換え可 |
牛乳 | 1 g | 無くても可(あれば乳糖の働きで焼き色が安定) |
はちみつ | 2 g | 無くても可(あれば果糖の働きで保湿力UP) |
材料名 | 量 | 説明 |
---|---|---|
全卵 | 64 g | Mサイズ卵1と1/3個 |
砂糖 | 36 g | 上白糖でもグラニュー糖でも可 |
薄力粉 | 32 g | |
サラダ油 | 8 g | バター、太白ごま油に置き換え可 |
牛乳 | 2 g | 無くても可(あれば乳糖の働きで焼き色が安定) |
はちみつ | 3 g | 無くても可(あれば果糖の働きで保湿力UP) |
材料名 | 量 | 説明 |
---|---|---|
全卵 | 100 g | Mサイズ卵2個 |
砂糖 | 57 g | 上白糖でもグラニュー糖でも可 |
薄力粉 | 50 g | |
サラダ油 | 12 g | バター、太白ごま油に置き換え可 |
牛乳 | 4 g | 無くても可(あれば乳糖の働きで焼き色が安定) |
はちみつ | 5 g | 無くても可(あれば果糖の働きで保湿力UP) |
材料名 | 量 | 説明 |
---|---|---|
全卵 | 144 g | Mサイズ卵3個 |
砂糖 | 82 g | 上白糖でもグラニュー糖でも可 |
薄力粉 | 72 g | |
サラダ油 | 17 g | バター、太白ごま油に置き換え可 |
牛乳 | 6 g | 無くても可(あれば乳糖の働きで焼き色が安定) |
はちみつ | 7 g | 無くても可(あれば果糖の働きで保湿力UP) |
材料名 | 量 | 説明 |
---|---|---|
全卵 | 196 g | Mサイズ卵4個 |
砂糖 | 112 g | 上白糖でもグラニュー糖でも可 |
薄力粉 | 98 g | |
サラダ油 | 24 g | バター、太白ごま油に置き換え可 |
牛乳 | 8 g | 無くても可(あれば乳糖の働きで焼き色が安定) |
はちみつ | 10 g | 無くても可(あれば果糖の働きで保湿力UP) |
材料名 | 量 | 説明 |
---|---|---|
全卵 | 256 g | Mサイズ卵5個 |
砂糖 | 146 g | 上白糖でもグラニュー糖でも可 |
薄力粉 | 128 g | |
サラダ油 | 31 g | バター、太白ごま油に置き換え可 |
牛乳 | 10 g | 無くても可(あれば乳糖の働きで焼き色が安定) |
はちみつ | 13 g | 無くても可(あれば果糖の働きで保湿力UP) |
牛乳とはちみつは、どちらもスポンジのしっとり感をプラスする役割がありますが、なければ省略可能です。
スポンジケーキに入れる油脂には、バター、サラダ油、太白胡麻油が用いられます。油脂ごとに以下のような違いがあります。今回は、別立てスポンジならではの「ふわふわ感」を感じて頂くためにサラダ油を採用しています。
バター | 香りが良くしっとりとしたスポンジに仕上がる。 |
サラダ油 | ふわふわとスッキリとした味わいのスポンジに仕上がる。 |
太白胡麻油 | サラダ油とほぼ同じ食感で、サラダ油よりも香りが少ないので油の匂いが気になる方におすすめ。 |
卵はあらかじめ「卵黄」と「卵白」に分けておきます。
卵白はこのあと泡立てて「メレンゲ」にしますが、このときに少しでも卵の黄身が混ざってしまうと、いくら泡立てても「メレンゲ」が完成しません。
これは卵黄に含まれる油分の「消泡作用」によるもので、ホイッパーに油の洗い残しがあるだけでも「メレンゲ」が作れなくなるので気をつけましょう。


必要な道具
スポンジケーキを作るのに必要な道具はこちら。
- オーブン
- キッチンスケール(はかり)
- 泡だて器(ホイッパー)
- ふるい(またはザル)
- ゴムベラ
- ケーキ型
- クッキングシート
- ボウル
- フライパンまたはお鍋(湯煎用)
オーブン以外は全て100均などで揃えることができます。
作業の流れを確認しよう
作り方は3ステップ。
ケーキ型にクッキングシートをセットする。
薄力粉を紙などの上にふるっておく。
160℃でオーブンの予熱を開始する。
卵黄に砂糖の約1/3、サラダ油、牛乳を入れて少し白っぽくなるまでホイッパーで混ぜる。
卵白に残りの砂糖を入れてホイッパーで泡立てメレンゲを作る。
卵黄生地とメレンゲを混ぜ合わせる。
薄力粉を加えて粉が見えなくなるまで混ぜる。
生地をケーキ型に流し込み、予熱したオーブンに入れて焼く(サイズ別の焼き時間はこちら)。
焼き上がったらケーキ型を30cmの高さから落として衝撃を与える。
熱いうちにケーキ型からスポンジケーキを取り外して冷ます。
ステップ毎に詳しくご説明します。
STEP.1 下準備
まず、ケーキ型にクッキングシートを敷きます。

側面のクッキングシートが倒れてくるときは、ケーキ型にバターまたはサラダ油を薄く塗って下さい。
クッキングシートが張り付いて倒れてこなくなります。
クッキングシートの切り方はこちらの記事を参考にしてください。

次に、フルイまたはザルを使ってクッキングシートや紙の上に小麦粉をふるっておきます。

ここで小麦粉をふるっておくと、泡立てた生地に小麦粉を加えるとき大変スムーズです。

少し早めですが、この時点で予熱を開始してしまいましょう。
操作方法はオーブンの種類によって違いますが、大体このような流れになります。
オート機能で「スポンジケーキ」が選べる場合は、そちらの機能を使っても大丈夫です。

選択しない機種もあります。
STEP.2 生地を作る
まず、卵黄に砂糖を1/3ほど加え、泡だて器で混ぜます。

これぐらいの色になればOKです(真っ白にする必要はありません)。

ここにサラダ油と牛乳を加えて、均一になるまで混ぜれば卵液生地の完成です。

卵白に残りの砂糖すべてを加えて泡立て、メレンゲを作っていきます。
もし電動ミキサーがなければ、休むことなく全力で混ぜ続けて約3分…。
たった3分、されど3分。これが想像以上にキツいんですよね(泣)
インターバルメレンゲ法
そこで、皆様におすすめしたいのがインターバルメレンゲ法(仮名)です。
やり方がこちら。
はい、大した裏技ではありません。笑
インターバル(休憩)を挟みながら全力で泡立てるだけです。
メレンゲの泡立てには「瞬発力」が大事なのですが、適度に休むのでエネルギー効率が良く、実際に混ぜる時間はたったの2分(10秒✕12セット=120秒)です。
実際の泡立ちの様子がこちら。



体力には個人差がありますので、インターバルの間隔やセット数も調整しながら楽なかき混ぜ方を探ってみて下さい。
ボウルを逆さにしても落ちてこないぐらいの硬さになれば、メレンゲの完成です。
何回混ぜても硬くならない場合は、卵の黄身が混ざっているか、ホイッパーに油の洗い残しがあった可能性があります。脂分が少しでも加わるとメレンゲが出来ません。
先ほど泡立てた卵液生地を少しホイッパーでほぐしてから、メレンゲの中に全部入れます。

ゴムベラでぐるぐる混ぜましょう。
混ぜ具合は少しメレンゲが見える程度。

スポンジケーキ作りで一番むずかしい工程ですが、注意点は一つ。
それはゴムベラでボウルに触れるのは一番最後ということです。
実際にやりながらご説明します。
まず、あらかじめふるっておいた小麦粉をすべて生地の中に投入します。

最初は、ボウルに触れないように中心付近だけで混ぜていきます。生地に小麦粉を取り込んでいくイメージで、徐々に混ぜる範囲を広げていきます。


小麦粉がほどんど見えなくなってきたら、ここで初めてボウルをこすってかき混ぜます。


ここで粉がダマになって残ると、スポンジケーキの中にカリッとした食感の粒が出来てしまったりと残念な結果になってしまいます。
「泡が消えてしまうかも・・・」と不安になるかもしれませんが、メレンゲの泡は、この段階では皆さんが思うよりもずっと丈夫です。恐れずしっかりと混ぜ合わせましょう。
次に、温めておいたバターと牛乳(バター溶液)を加えます。ただし、バターに含まれる油脂は、卵の気泡を消しやすい性質を持っているため手早く混ぜる必要があります。
手早く混ぜ合わせるために、バター溶液のボウルに泡立てた卵液生地をひとすくい加え、あらかじめ混ぜ合わせておきます。この「ひと手間」で2つの生地の濃度が近くなり、格段に混ざりやすくなります。


お菓子作りの現場では、生地の泡立て具合の目安として「100mlあたりの重さ」をはかります。泡立てていない卵液は100mlあたり100g以上ありますが、しっかり泡立てた卵液生地は空気をたくさん含むため、22g前後まで軽くなります。一方、バター溶液の重さは90g前後。泡立てた卵液生地に比べるととても重い液体です。
もし、この重いバター溶液を軽い卵液生地に一度に加えるとどうなるでしょう。バター溶液は重いため底に沈み、簡単には混ざりません。均一にしようと混ぜれば混ぜるほど、バターのもつ消泡作用によって卵液生地の泡がこわされ、生地のふくらむ力を奪ってしまいます。
そこで、この失敗を防ぐために「仲介役」を作ってあげます。まず、重いバター溶液に、軽い卵液生地をひとすくい加え、ここで均一になるまで混ぜ合わせます。こうすることでバター生地の比重が少し軽くなり、メインの卵液生地の比重に近づきます。その後、「仲介役」を卵液生地のボウルに戻してあげれば、比重が近くなっているため、最小限の混ぜる回数で泡を壊さず全体をムラなく混ぜ合わせることができるのです。
これを本体のボウルに戻し入れ、ゴムベラで底からすくうように大きく混ぜていきます。油脂を加えたあとは時間との勝負。手早く、しかし確実に混ぜきりましょう。
生地全体の色が均一になれば混ぜ終わりです。約15~20回の混ぜ回数で完了するのが理想です。


STEP.3 オーブンで焼く
クッキングシートをセットしたケーキ型に、生地を流し込みます。

最後の方に入れた生地は泡が潰れて重たくなっているので、生地の膨らみを妨げます。
ゴムベラなどで表面をちょちょっと混ぜておきましょう。

表面の凹凸が気になる場合は、トントンと衝撃を与えて平らにします。
生地が真ん中に寄ってしまっているときは、クルクル回して遠心力を使うのも効果的。

160℃で予熱したオーブンに生地を入れて焼いていきます。
焼き時間はオーブンの種類によって微妙に異なりますが、平均的な焼き時間を下にまとめましたので、参考にしてみてください。
- 3号(直径9cm) ⋯ 25分
- 4号(直径12cm) ⋯ 27分
- 5号(直径15cm) ⋯ 30分
- 6号(直径18cm) ⋯ 32分
- 7号(直径21cm) ⋯ 35分
- 8号(直径24cm) ⋯ 37分
通常の焼き方でも十分に美味しく焼き上がりますが、もしオーブンの扱いになれてきて「お店のようなしっとり感を再現したい」と感じたら、ぜひ試してほしいテクニックがあります。ご興味のある方は、すぐ下にある「ケーキ屋さんのしっとり感をご家庭のオーブンで再現する方法」の項目をぜひご覧ください。
「レシピ通りなのに、なんだかケーキがパサつく⋯」
これは、ご家庭でスポンジケーキを焼くときのよくある疑問かと思います。その原因は、家庭用オーブンの特性にあります。
現在主流の家庭用オーブンは、熱風をファンで循環させて焼く「コンベクション式」です。熱が均一に伝わるためクッキーなどはサクッと仕上がりますが、常に風があたっているため、生地の水分が奪われやすいという弱点があります。これが、スポンジケーキがパサつく最大の原因です。(※スチーム機能付きのオーブンをお持ちの場合は、ぜひその機能を活用してください)
お店で使う大型のガスオーブンなどは、庫内が広く熱がじんわりと伝わるため、生地の水分を保ったまま焼き上げることが出来ます。この環境に近づけるのが、天板に濡れタオルを敷いて焼くという方法です。


オーブンの熱でタオルから発生した水蒸気が庫内に充満し、生地の乾燥を防ぎながら、火の当たりを柔らかくしてくれます。これにより、パサつきが抑えられ、ケーキ屋さんのようなしっとりとした食感に仕上がるのです。
この方法は非常に効果的なのですが、初めてスポンジケーキを焼く方には難易度の高いテクニックです。挑戦するまえに、以下のリスクを必ず理解しておきましょう。
- 焼き時間が変わる : 熱の伝わり方が変わるため、レシピ通りの時間では生焼けになる可能性がある。
- 水分量がシビア : タオルの水分が多すぎると「焼き」ではなく「蒸し」の状態になり、焼色がつかない。
- オーブンとの相性 : ご家庭のオーブンのパワーやサイズによって、最適な水分量や焼き時間が異なる。
まずは通常の焼き方で、安定して美味しいスポンジケーキを焼けるようになることが最優先です。その上で、さらに「しっとり感」を追求してみたいと思ったときは、オーブンのクセを掴むまでの試行錯誤が必要ですが、ぜひ試してみて下さい。

焼き上がりまでオーブンは開けてはいけません。
焼いている途中でオーブンを開けてしまうと、気圧の変化で生地から水蒸気が抜けてしまいます。
一度水蒸気が抜けてしまうと、それ以降のスポンジの浮きが悪くなって失敗してしまいます。
焼き終わったら、焼き加減のチェック。
爪楊枝や竹串でスポンジの中心付近を刺して、写真のように生地がついてなければ焼けてます。

焼けていなければ、追加で3分~5分焼いて下さい。
スポンジをオーブンから取り出したら、30cmぐらいの高さから落として衝撃を与えます。


焼きたてのスポンジケーキは水蒸気で膨張した気泡の集まりのような状態です。
これをそのままにしておくと、水蒸気が冷えて気泡が収縮するとともにスポンジ全体が縮んでしまいます。
これを防ぐのが衝撃です。
あらかじめスポンジ内の気泡を衝撃で壊すことで、水蒸気の収縮による影響がスポンジ生地に直接伝わらないようにしてあげます。
衝撃を与えたらすぐにスポンジケーキを型から取り出します。

軍手が無い場合は、鍋つかみなどでケーキ型ごと金網などにひっくり返して置きケーキ型を取り外してください。


スポンジの周りのクッキングシートをはがせば、ふわふわのスポンジケーキの出来上がり!

粗熱が取れたら、ラップに包んで冷蔵庫に1時間~1日寝かせると更にしっとり美味しくなります。

1~2日以内にお召し上がりの場合はこのまま冷蔵庫へ。
3日以上保存する場合は冷凍保存がおすすめです。
スポンジケーキを保存するときの注意点についてはこちらの記事にまとめました。

今回は、別立て法でスポンジケーキを作る方法について解説しました。
ホイッパー(泡だて器)での泡立ては大変だったでしょうか(^_^;)それとも、思ったよりも楽だったでしょうか?
別立て法で作ったスポンジケーキはふわふわで美味しいのですが、デコレーションケーキの土台としては少しコシが強すぎるので、シロップを多めに打つことをお忘れなく。
スポンジケーキが上手に焼けたら、次はいよいよデコレーションですね。こちらの記事では、スライスしたスポンジケーキに「いちご」をサンドして、周りにクリームを塗る(ナッペ)ところまでを詳しく解説しています。

今回焼き上げたスポンジケーキが、素敵なデコレーションケーキに変身するのを心から楽しみにしています!
それでは、また次のレシピでお会いしましょう。最後までお読みいただき、ありがとうございました。