パティシエが選ぶ、手作りケーキのおすすめ材料

意外と時間と手間のかかるケーキ作り。どうせなら美味しく作りたいですよね!

この記事では、魔法洋菓子店ソルシエのパティシエがおすすめのケーキ材料をご紹介します。

ご自宅での美味しいケーキ作りの参考になれば幸いです。

小麦粉の選び方

まずは、スポンジケーキの生地の主役となる小麦粉の選び方からご紹介します。

小麦粉は、タンパク質の含有量によって多い順に、強力粉中力粉薄力粉、に分類されます。

分類されている理由は、それぞれ主な使い方が異なるからです。

ふんわりとした口当たりのスポンジケーキに向いているのは、タンパク質が最も少ない薄力粉

薄力粉の中でも、スポンジケーキに特にオススメな薄力粉を2種類ご紹介します。

上手に焼けたのにケーキ屋さんのスポンジとちょっと違う・・・という経験をされたことのある方は、小麦粉から変えてみるのがおすすめです。

なぜタンパク質量によって性質が変わる?

小麦粉に含まれるタンパク質(グルテニンとグリアジン)は、水を加えて練ることで変質してグルテンに変わります。

グルテンは、小麦粉同士をつなぐ骨格や膜のような役割を果たしており、例えば、パンのように生地を大きくふくらませる必要がある場合は、強いグルテンを形成するためにタンパク質量の多い強力粉を選ぶことになります。

逆に、ほろほろと崩れやすいスポンジケーキの生地を作るときには、タンパク質が少なくグルテンをあまり形成しない薄力粉を用いるというわけです。

小麦粉の味わいを左右するもう一つの成分、灰分とは?

小麦粉の性質を決める要素として、タンパク質の他に灰分というものがあります。

灰分とは、その名の通り小麦粉を燃やしたあとに残る灰の部分です。

小麦粉を高温で燃やすと、タンパク質デンプン脂質は燃えてなくなりますが、リンカリウムマグネシウム鉄分などのいわゆるミネラル分が灰として残ります。

灰分単体では苦みや雑味としか感じられませんが、小麦粉の中に少量の灰分が含まれることで、小麦の香ばしさや旨味が増し、お菓子作りに良い影響を与える場合があります。

オススメの小麦粉① 宝笠ゴールド(タンパク質7.6±0.5% 灰分0.39%)

1つ目にご紹介するのは、増田製粉所が製造する宝笠ゴールドです。

この小麦粉を使用すると、キメが細かく口溶けの良いスポンジケーキに焼き上がります。

スライスしたスポンジケーキにはシロップを塗布することがありますが、この小麦粉で作ったスポンジケーキは、シロップを塗布しなくても、生クリームの水分だけで十分な程しっとりとした食感が得られます。

ただ、宝笠ゴールドはスーパーなどでは手に入りにくいかもしれません。

公式ページでも、大容量での販売のみのようです。

宝笠ゴールド700g×15 | 増田製粉所

送料が余分にかかりますが、Amazonや楽天市場では小分けで販売されているようです。

オススメの小麦粉② バイオレット(タンパク質 7.8±0.5% 灰分0.33%)

2つ目におすすめなのが、日清製粉が製造するバイオレットです。

こちらも、ふんわりとクセの無いスポンジケーキに焼き上がります。

バイオレットはスーパーでも手軽に購入できますので、初めてのスポンジケーキ作りにはこちらの小麦粉がおすすめです。

油脂(バター・サラダ油)の選び方

スポンジケーキには、しっとりとした食感を出すために油やバターなどの油脂を加えます。

手軽に作りたい方はサラダ油もおすすめですが、ここまで読んでくださっている皆さまはこだわり派だと思いますので、ケーキ屋さんの味に近づけるためにオススメの油脂を2つご紹介します。

おすすめの油脂① 太白ごま油

ごま油と聞いて、ごま風味のスポンジになってしまうのでは?と思われるかもしれませんが

太白ごま油は、生のごまから油を抽出しているため、香りはほとんどありません

サラダ油に比べて油臭さがかなり抑えられるので、小麦粉やクリームなどの素材の味わいがよりクリアになります。

さらに、太白ごま油はバターと違って常温で液体のため、スポンジケーキが冷えた後でも固くなることがなく、ふわふわとした食感を維持することができます。

おすすめの油脂② バター

スポンジケーキの油脂としてバターを用いるメリットは、やはりバターの風味とコクがプラスされることです。

また、バターは28℃以下で固体になるため、焼き上がったスポンジケーキは冷やすとほんの少し固くなります。

これが、よりしっとりとした食感を生み出します。

ハイブリッドで油脂を極める

しっとり感と風味を与えるバター、そして冷めてもふんわりとした食感を維持しクセのない太白ごま油。

これらをお好みの配合で混合することで、理想の焼き上がりをどこまでも追求することができます。

性質の違う油脂を組み合わせて、お気に入りのケーキ屋さんのスポンジを再現してみるのも面白いかもしれませんね。

クリームの選び方

スーパーに行くと、いろいろな名称のクリームが置いてあってどれを選べばいいかわからなくなりますよね。

各クリームにはそれぞれ長所や短所があるため、自分好みのクリームを選ぶための知識についてご説明します。

クリーム類の種類は4つ

クリーム類には、大きく分けると4つの種類があります。

各クリームの違いについて整理してみましょう。

①動物性生クリーム(乳脂肪のみ)

生乳のみを原料とした100%動物性のクリームで純生クリームなどの名称で販売されています。

各クリームの中でも風味の良さは抜群で、本格的な味わいのケーキに仕上げることができます。

ただ、安定剤などが添加されていない分、分離しやすく、型崩れもしやすいため、温度管理や手際の良さが求められます。

このクリームの見分け方は、原材料名にクリームと記載されていること。

比較的高価なため、費用を抑えたい場合は他の種類のクリームを検討してみてください。

②植物性クリーム(植物性脂肪+添加物)

ヤシ油やパーム油などの植物性脂肪のみを原料としたクリームで、◯◯フレッシュ◯◯ホイップなどの名称で販売されています。

風味やコクが薄く淡白な味わいですが、バナナなどの味が濃いフルーツと合わせる場合には逆に相性が良かったりもします。

このクリームの見分け方は、原材料名に植物性油脂と記載されていること。

クリームの中では最も安価で、賞味期限も長めです。

③コンパウンドクリーム(乳脂肪+植物性脂肪+添加物)

コンパウンドクリームとは、動物性の脂肪分と植物性の脂肪分をコンパウンド(混合)したクリームで、多くの場合は添加物として乳化剤安定剤香料が使用されています。

②の植物性クリームと同様に、◯◯フレッシュ◯◯ホイップなどの名称で販売されています。

味わいはやはり、動物性と植物性の中間的なものとなります。

コンパウンドクリームの見分け方は、原材料名に植物性油脂乳製品の両方が記載されていること。

クリームの風味もあり、お値段も②の植物性クリームの次に安価なので、動物性と植物性のいいとこ取りなクリームと言えます。

④純乳脂クリーム(乳脂肪+添加物)

こちらのクリームは、①と同じく生乳のみを原料していますが、添加物として乳化剤や安定剤が使用されているクリームです。

純乳脂クリームの見分け方は、原材料名に乳脂肪分、乳などの動物性脂肪のみが記載されており、その後の「/」に続いて乳化剤安定剤などの添加物名が記載されていることです。

①の動物性生クリームと同様に風味が良く、添加物が加わることによって分離しにくく使い勝手が良いクリームです。

添加物も年々改良が加えられ安全性が高まっていますが、添加物に抵抗がある方は他のクリームを検討しましょう。

ケーキデコレーションには脂肪分35~38%がおすすめ

次に気になるのは、脂肪分の割合(%)ですよね。

脂肪分は高くなるほど風味が濃くなりますが、舌に残りやすく重たく感じる方もいらっしゃいます。

また、高脂肪のクリームは分離しやすく形を保つ力が弱いため、きれいに仕上げるためには技術が必要となります。

これを踏まえると、ケーキのデコレーションに使用するクリームとしては、脂肪分は35~38%のものが味わいと扱いやすさのバランスが良いと考えます。

昔は40%以上の高脂肪のクリームを使用する洋菓子店が多くありましたが、近年は軽めのクリームを好まれるお客様が多くなっていることもあり、高脂肪のクリームを使用する洋菓子店はかなり減ったように思います。

結局おすすめのクリームは何?

では、具体的におすすめのクリームを2つご紹介します。

おすすめのクリーム① 特選北海道純生クリーム35(動物性クリーム)

タカナシ乳業さんの特選北海道純生クリーム35は、軽めの脂肪分量ながら風味の良いおすすめのクリームです。

特選北海道純生クリーム35 | タカナシ乳業株式会社

タカナシ乳業さんは、ハーゲンダッツアイスクリームの製造をしている会社としても有名ですね。

最近はスーパーでもよく売っていますので、是非一度お試し下さい。

おすすめのクリーム② 森永純乳脂40(純乳脂クリーム)

森永乳業さんの森永純乳脂40も、洋菓子店でよく使用されるクリームのひとつです。

森永純乳脂40 | 森永乳業株式会社

やや高脂肪なので風味が良いのはもちろんですが、高脂肪のデメリットである分離しやすさも乳化剤、安定剤が添加されることにより克服されています。

卵の選び方

地元のお気に入りの卵を探してみよう

卵は基本的に最寄りのスーパーなどでご購入されると思いますので、地元の卵をいろいろと試してみてください。

ちなみに当店では、愛媛県産の「純白美卵」を使用しています。

卵選びで気をつけるポイントは、卵の水分量です。

卵は、銘柄やS、M、Lなどのサイズによっても水分量が変化するほか、季節によっても微妙に変化します。

具体的には、鶏が水をよく飲む夏は水分量が多くなり、逆に冬は水分量が少なくなります。

スポンジケーキを焼くときにはあまり気にしなくてもかまいませんが、スフレチーズケーキなどの水分量に敏感なレシピの場合は、卵の水分量の変化を頭の片隅に意識してみると良いかもしれません。

早速ケーキを作ってみよう

今までケーキを作ったことが無いという方は、こちらの記事を参考にスポンジケーキを焼いてみてください。

意外と簡単につくれてしまうので驚かれる方も多いです。

焼いたスポンジケーキの使い道はケーキだけではありません。

サイコロ状にカットして、生クリームと交互にグラスに詰めて苺を乗せればこんな可愛いスイーツも作れます。

最後までお読み頂きありがとうございました。

youtubeチャンネル(ソルシエレシピ)でもレシピを配信していますので、ご興味のある方はご覧いただけますと嬉しいです。

また、レシピのリクエストなどありましたらコメント欄までお寄せください。

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